RAIDとは? ストレージ構成検討のポイント

今日の一般的なコンピュータには、少なくとも1本、SSDやHDDといった記憶装置(ストレージ)デバイスが搭載されています。
通常、ストレージデバイスは単独で利用されますが、様々な理由から複数のストレージデバイスを組み合わせて利用することがあります。
今回はそのための仕組み、RAIDについて解説していきます。

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[目次]

RAIDとは?

RAIDレベル
-RAID0 (ストライピング)
-RAID1 (ミラーリング)
-RAID5
-RAID6

まとめ

FAQ

RAIDとは?

RAIDはRedundant Arrays of Inexpensive Disksの略で、複数のストレージを用いてストレージのアクセス性能や冗長性を高める仕組みの名称です。
RAIDにはストレージデバイスの組み合わせ方によっていくつかのレベルの違いがあり、それぞれに適した用途や目的が存在しています。

RAIDレベル

RAIDレベルには理論上でのみ存在し,実際には利用されていないものあります。
ここでは、一般的に利用されているRAIDレベルの特性を解説します。

 

RAID0 (ストライピング)

2台以上のストレージデバイスで構成し、それぞれのデバイスにデータを分散して書き込むことで、ストレージ全体でのアクセス性能を向上させます。
2台、3台と構成するデバイス数が増えるほど理論上はアクセス性能が向上しますが、分散書き込みのための処理によりかかる負荷のため、実際には2倍、3倍と比例してアクセス性能を向上させることは難しくなります。
RAID0はデータの冗長性が考慮されないため、構成するデバイスのうち1台が故障するとアレイ全体に障害が発生し、基本的にはデータへのアクセスができなくなります。
理論上、RAID0アレイの障害発生確率は、構成するストレージデバイスを単独で利用する場合よりも高くなってしまいます。
そのため、アクセス性能を最優先する場合には効果的ですが、ストレージの冗長性を確保したい場合には不向きです。

 

RAID1(ミラーリング)

2台以上のストレージデバイスで構成し、それぞれのデバイスに同じデータを書き込むことで、ストレージ全体での冗長性を確保します。
1台のデバイスが故障しても、残ったデバイスで動作を継続し、データへのアクセスを確保します。
3台以上のストレージデバイスで構成した場合、基本的には残り1台になるまで動作を継続します。
同じデータを複数のデバイスに書き込むため、最も確実性の高い仕組みですが、何台のデバイスで構成しても、実際にデータの保存を行える容量はデバイス1台分にとどまります。
そのため、デバイスの利用効率を犠牲にして信頼性を確保する仕組みと表現することもできます。

 

RAID5

3台以上のストレージデバイスで構成し、保存したデータのエラー訂正用の情報を各ストレージデバイスに保存することで冗長性を確保しつつ、ストレージデバイスの利用効率を高める方式です。
1台のストレージデバイスが故障してもデータへのアクセスを確保します。
3台で構成した場合、およそデバイス2台分のデータ容量を確保できるため、RAID1と比較してデバイスの利用効率に優れています。
構成するデバイス数が増えるほど利用効率やアクセス性能は高まりますが、障害からの復旧に必要な時間は増加します。

 

RAID6

4台以上のストレージデバイスで構成し、RAID5同様のエラー訂正用の情報を2セット保存することでより高い冗長性を確保する仕組みです。
2台のストレージデバイスが故障してもデータへのアクセスを確保します。
4台で構成した場合、およそデバイス2台分のデータ容量となり、同じ容量のHDD、必要最小数のデバイスで構成した場合で比較するとRAID5と同様の容量となります。RAID5の信頼性をより高めた方式と言えます。
RAID5に近い特性を持っていますが、エラー訂正用データを2セット生成する仕組み上、RAID5よりも書き込み性能への負荷は高まります。

まとめ

以上、一般的に利用されることの多いRAIDレベルについて解説しました。

RAIDは単一のレベルでの構成だけではなく、複数のRAIDレベルで一つのボリュームを構成することもあります。
一例としてRAID10は、RAID1で構成した二つのアレイでさらにRAID0を構成することで、RAID1の冗長性とRAID0のアクセス性能を両立させる仕組みです。その他、同様の狙いでRAID50やRAID60といった構成も大規模なストレージシステムでは利用されています。

これらのRAIDレベルがコンピュータ上で利用可能かどうかは、搭載されているマザーボード上のRAIDコントローラーやRAIDカードの仕様に依存します。
また、RAIDの構成設定を行うと、基本的にストレージデバイス内のデータは全て初期化されます。既にデータの保存されたデバイスを利用してRAIDを新たに構築する場合は、必要なデータを退避させるなどの事前の処置が必要になります。

本記事ではRAIDという仕組みや運用に関する概要を解説いたしました。
続編として、実際にRAIDを構築し、パフォーマンスの測定を行った記事を公開する予定です。
最後に、本記事の内容に関連して弊社に寄せられたご質問を掲載いたします。

FAQ

Q.RAIDを構成したらデータのバックアップは取らなくてもよい?

A.RAIDはデータのバックアップを意図したものではありません。
あくまでハードウェア障害への耐性などを付与するためのものとなります。
ハードウェアの故障によるデータの損失リスクを低減することはできますが、人為的なミスなどによるデータの消失を防ぐことはできません。
重要なデータはRAIDではなく、バックアップの取得による保全が有効です。

Q.RAIDを構成するストレージデバイスはどのような組み合わせでもよいのか?

A.同容量のデバイスで構成することが理想です。容量の異なるデバイスで構成することもRAIDコントローラーの仕様によっては可能ですが、構成後のデータ領域の大きさは基本的に容量の小さいデバイスを基準に決められます。
例として1TB、2TBのHDDを1本づつ利用してRAID1を構成すると、利用可能なデータ領域は1TB相当となります。2TB HDDの残った1TBの領域は原則として利用することができなくなります。

Q.実際にRAIDを構成するデバイスに障害が発生した場合どうなるのか?

A.各RAIDレベルで担保されている冗長性の範囲内で動作を継続します。
なお、ストレージ周辺の仕様にもよりますが、RAIDには障害の発生を通知する仕組みを併せることが一般的です。
RAIDコントローラーに付帯して提供されている管理用ソフトウェアや、HDD搭載部に設けられたLEDに障害を通知するものが搭載されています。
障害発生の認識後、デバイスを交換することになりますが、この部分も動作を継続したままデバイスの交換を行える仕組み(ホットスワップ)を備えた構成とすることが多くあります。
この場合、デバイスを良品と交換すると新たなHDDをRAIDコントローラーが認識し、元の状態への再構築が始まります。
障害が発生した状態はRAIDの冗長性が損なわれており、また健全な状態と比較してアクセス性能に悪影響が生じていることもあるため、早期のデバイス交換が推奨されます。

 

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