フォトグラメトリ・点群処理向け マシン選定のポイント

フォトグラメトリとは

フォトグラメトリの概要

フォトグラメトリは、複数の写真から物体や環境のリアルな3Dモデルを作成する技術です。異なる視点から撮影された写真を解析し、特徴点の位置関係やパースの変化を利用して、対象物の形状を復元します。これにより、精密で立体感ある3Dモデルを実現します。

フォトグラメトリの活用シーン

フォトグラメトリは、多岐にわたる場面で重要な役割を果たしています。不動産や建築業界では建物や土地の測量や設計に利用され、文化財研究や公共事業では遺物や遺構のデジタルモデルの作成、都市計画や土地利用の検討に活用されます。また、エンターテインメント分野では映像制作やゲーム開発に応用されています。さらに、地理情報システム(GIS)、地質学、農業分野などでも重要なツールとして広く使われています。

フォトグラメトリに必要なもの

フォトグラメトリを行うには、以下の条件やスペックが必要です。

  • 複数の写真 異なる視点から撮影された写真が必要です。
    画像の解像度 高解像度の写真がモデルの精度に影響します。
    処理能力 大量の画像を効率的に処理するために、高性能なPCやグラフィックスカードが必要です。

代表的なソフトウェアと要求スペック

以下は、フォトグラメトリで使用される代表的なソフトウェアの例です。
基本的な内容での利用を想定した場合と、より高度な処理を行う場合のそれぞれについて、PC構成の目安情報をまとめました。

Metashape

  基本構成 高度な構成
メモリ 16-32GB 32-128GB
CPU 4-12コアのIntel/AMD/Apple M1/M2プロセッサ、2.0GHz以上 6-32コアのIntelまたはAMDプロセッサ、3.0GHz以上
GPU 1024以上の統合シェーダを持つNVIDIAまたはAMD GPU 1920以上の統合シェーダを持つ1-2基のNVIDIAまたはAMD GPU

Metashapeライセンスは弊社ユニポス事業部にて取り扱いがございます。

参考:Metashape | 3Dモデリング ソフトウェア

RealityCapture

  基本構成 高度な構成
メモリ 16GB 32GB以上
CPU 4コア以上 8コア以上
GPU 1024 CUDAコア以上 2048 CUDAコア以上

RealityCaptureライセンスは弊社ユニポス事業部にて取り扱いがございます。

参考:RealityCapture | 画像 3Dモデル 作成 フォトグラメトリ ソフトウェア

Pix4Dmapper

  基本構成 高度な構成
メモリ 8GB以上 16GB以上
CPU Core i5以上 Core i7以上
GPU 主流のゲーミングGPU 高級GPU

PiX4Dライセンスは弊社ユニポス事業部にて取り扱いがございます。

参考:Pix4D | Pix4D社製 スイス 画像処理 ソフトウェア

3DF Zephyr

  基本構成 高度な構成
メモリ 8GB以上 16GB以上
CPU マルチコアCPUが推奨 高クロックのCore i7以上
GPU CUDA対応GPUが推奨 高性能なCUDA対応GPU

フォトグラメトリを扱う上での注意点

実際にフォトグラメトリを行う場合、ソフトウェアやハードウェアのスペック以外では以下のような注意点が考えられます。

クリーンな背景: 対象物に影響を及ぼす不要な要素が写り込まないよう、クリーンな背景で撮影することが重要です。

高品質な画像: 高解像度でクリアな画像を使用することで、モデルの精度が向上します。

写真のオーバーラップ: 異なる角度からの多数の写真を撮影し、重なりを持たせることで、より正確なモデルが得られます。

点群処理とは

点群処理の概要

点群処理は、レーザースキャンや3Dセンサーによって得られた大量の3D座標データ(点群)を解析・処理する技術です。これにより、物体や環境の立体的な形状や構造を可視化・解析することが可能となります。

点群処理の活用シーン

点群処理は、製造業での品質管理や建築業界での建物や土地のスキャン、文化財研究や環境調査、自動運転技術の開発、エンターテインメント分野の3Dモデリングなど、多岐にわたる分野で応用されています。

点群処理に必要なもの

点群処理を行うには、以下の条件やスペックが必要です。

  • 点群データ: レーザースキャンや3Dセンサーによって得られた3D座標データ(点群)が必要です。
  • 処理能力: 大量の点群データを効率的に処理するために、高性能なPCやグラフィックスカードが必要です。

代表的なソフトウェアと要求スペック

以下は、点群処理で使用される代表的なソフトウェアの例です。
基本的な内容での利用を想定した場合と、より高度な処理を行う場合のそれぞれについて、PC構成の目安情報をまとめました。

Autodesk ReCap

  基本構成 高度な構成
メモリ 16GB以上, 推奨32GB 32GB以上, 推奨64GB
CPU 4コア以上 6コア以上
GPU ゲーミング向けGPU 高性能GPU, 複数GPUのSLI構成

Leica Cyclone

  基本構成 高度な構成
メモリ 32GB以上 64GB以上
CPU 4コア以上 8コア以上
GPU 中・低スペックのビデオカード 高性能のビデオカード(Quadro等)

FARO Scene

  基本構成 高度な構成
メモリ 32GB以上 64GB以上
CPU 4コア以上 8コア以上
GPU メインストリーム品 高性能ビデオカード(Quadro等)

CloudCompare

  基本構成 高度な構成
メモリ 32GB以上 64GB以上
CPU 4コア以上 8コア以上
GPU メインストリーム品 高性能ビデオカード(Quadro等)

Trimble RealWorks

  基本構成 高度な構成
メモリ 32GB以上 64GB以上
CPU 4コア以上 8コア以上
GPU メインストリーム品 高性能ビデオカード(Quadro等)

PolyWorks

  基本構成 高度な構成
メモリ 16GB以上 32GB以上
CPU 4コア以上 8コア以上
GPU 中~低スペックの独立GPU 高性能GPU

点群処理を扱う上での注意点

実際に点群処理を行う場合、ハードウェアのスペック以外では以下のような注意点が考えられます。

  • データのクオリティ: 点群データの品質が結果に大きく影響するため、高精度なセンサーやスキャン方法を選択することが重要です。
  • データの整合性: 異なるスキャンデータを正確に位置合わせするため、正確な位置情報や座標系の整合性を確保する必要があります。
  • ポイントクラウドの処理: 大量の点群データを処理する場合、効率的なポイントクラウドの処理手法を使用することが必要です。

テグシスの提案事例 -フォトグラメトリ・点群処理-

フォトグラメトリと点群処理は、それぞれ独自のアプローチで3Dモデルを作成しますが、時には組み合わせて使うこともあります。例えば、フォトグラメトリで得られた複数の画像からの3D情報と、点群処理で得られた精密な点群データを組み合わせることで、より高精度かつリアルな3Dモデルを作成することができます。これらの技術の違いと相互関係を把握することにより、研究開発テーマに対してより効果的なアプローチを行うことができます。

テグシスではフォトグラメトリや点群処理を用いた研究開発に携わるお客様へ,多数のPC構成をご提案してきました。
以下はその代表的な事例ですが、WEBに掲載のない用途・構成でもお気軽にご相談ください。
長年の実績から、最適な構成をご提案します。

PC-11013
車両3Dモデル作成用マシン
予算80万円
RealityCaptureによる3Dスキャン処理とUnreal Engine 5のNaniteメッシュ作成を想定した構成例。ハイエンドクラスのGPUを搭載。
PC-11105
都市計画 研究用マシン
予算100万円
ランドスケープデザインや点群処理、GIS系ソフトウェアの利用を想定した構成例。利用ソフトに合わせたGPUを選定。
PC-10797
森林資源解析用マシン
予算110万円
山林の航空写真からオルソ画像を作成したり、点群データによる森林資源解析を行うためのマシン。既存マシンよりも短い時間でのSfM処理を目的とした構成。

 

PC-9867
3Dモデル処理用ワークステーション
予算120万円
BIMを用いた建設計画のためのワークステーション例。レンダリングは考慮せず予算と全体スペックのバランスを取った構成。
PC-11165
深層学習を用いたフォトグラメトリ用ワークステーション
予算170万円
深層学習、点群処理 (Cyclone REGISTER、Cyclone 3DR) 、フォトグラメトリソフトウェア (RealityCapture) 等を扱うためのマシン構成例。
PC-10451
地理情報システムのためのSfM処理マシン
予算180万円
機械学習と量子化学計算などのシミュレーションを行うためのマシン構成例。量子化学計算ではVASP 6とQuantumEspressoの利用。GPGPUでの倍精度演算に対応している。